クラウド 元SEママの情シスなりきりAWS奮闘記

AWS re:Invent 2018 re:Capに行ってきた!今年注目の発表は?(前編)

2019年1月16日掲載

明けましておめでとうございます。シイノキです。あっという間に2018年が終わって…と書こうと思ったら、去年も同じようなことを書いていました。最近、いろんな記憶力が残念な感じになっており、何回聞いても息子の出席番号を覚えられません。

さて、そんなわけで今年もAWS re:Inventレポートのシーズンがやってまいりました。今回は2018年11月25日から30日までの6日間、会場はラスベガスのホテル7カ所!参加者は全世界から5万人以上!去年よりかなり規模を拡大しての開催だった様子。というわけで、シイノキはラスベガスに………は残念ながら行けてませんが、AWSジャパンが開催した、発表内容をダイジェストで振り返る「AWS re:Invent 2018 re:Cap」基調講演に参加してきたので、ダイジェストをさらにダイジェストでお届けします!

一部界隈で話題になったLambdaのCOBOL対応。サーバーレスはどう進化した?

早々に白状しておきますが、実は私、re:Invent開催中は新サービスの発表状況をほとんど追えていませんでした。そんな私がキャッチした(ほぼ)唯一の新発表が、LambdaのCOBOL対応。Twitterで話題に挙がっていて思わず二度見しましたが、もっとも縁が遠そうな言語によくまぁ対応したもんだ………ともはや感慨深い気持ち。COBOLに対応したなら、Lambdaはなんでもいけそうです。

今回の講演によると、LambdaのCOBOL対応は「AWS Lambda Custom Runtimes」というもので、COBOLだけに対応したのではなく、Lambda用にLinux互換のランタイムを持ち込めますよ、ということ。COBOLのランタイムはAWSが提供するのではなく、パートナーからの提供になるようです。COBOLをサーバーレスでどう活用するのかよくわかりませんが、どこかで大きなニーズがあるのでしょう。

もちろんCOBOL対応のほかにも、サーバーレス周りではさまざまな発表がされていまして、関数を「ネステッド」、つまり階層化して管理できるようになる(Nested AWS Serverless Application Repository)など、Lambdaでより大規模かつ複雑な処理ができるように進化しています。これで、これまで以上にサーバーレス化が進むんでしょう。それはそれでAWSロックインになるのでは………と気になるところでもありますが、うまく使えば活用の幅は広そうです。

大規模アカウントの管理を想定?運用管理系もかなり進化した模様

運用管理に関するサービスもいろいろとリリースされていますが、大規模ユーザのニーズに対応したなぁ、というのがざっくりした印象です。
たとえば、複数AWSアカウントにセキュリティポリシーを展開できたり(AWS Control Tower)、複数AWSアカウントのインシデントをまとめて管理できたり(AWS Security Hub)、アカウントをまたいでリソースを共有できたり(AWS Resource Access Manager)、「事業部ごとにAWSアカウントをわけて運用したい」というような企業にとってはかなり便利になるのではないでしょうか。

もちろん、大規模運用のことばかりではなく、むしろ小規模、というよりもこれからAWSをはじめる初心者にとって嬉しい機能が「AWS Well-Architected Tool」。今もすでに「AWS Well-Architected Framework」としてAWSが思う「設定はこうしておくといいよ」集がホワイトペーパーとして公開されていますが、それをひとつずつチェックするのは結構大変です。なんというか………、わからないからそれを頼りたいのに、チェックするのにAWSの知識がいるよねという本末転倒感は否めないところ。

そこでこのツール。これを使えば、自分の環境がAWS Well-Architectedのチェックリストに準拠しているかどうかを自動で確認してくれます。これまでもAWS Trusted Advisorで、いろいろチェックできましたが、その進化版といったところだそう。詳細はよくわかりませんが、これは地味に便利そうな予感がします。まりそうです。

Amazonのレコメンドがサービス化!機械学習関連で注目のサービスは?

そしてやはり注力しているのが機械学習関連。こちらもかなりたくさんのサービスがリリースされました。昨年のre:Invent 2017でリリースされた機械学習サービス「Amazon SageMaker」をパワーアップするものとして「Amazon SageMaker Neo」「Amazon SageMaker Ground Truth」「Amazon SageMaker RL」などを発表。それぞれの概要は下図にまとめましたが、「なんだかすごそうだけど、よくわからない」「おそらく私が使うことはないんだろうな」というのが正直な感想です。

[Amazon SageMaker Neo]SageMakerで出力した推論モデルを稼働させる環境に最適化するサービス。推論のパフォーマンス向上が期待できる。[Amazon SageMaker Ground Truth]教師付き機械学習における、教師データ作成(アノテーション)を効率化するツール。ラベリングなどの作業を簡素化できる。[Amazon SageMaker RL]機械学習分野のなかでもメジャーな手法である「強化学習」のためのパッケージ。

とはいえ!このあたりは機械学習を開発するエンジニアの方々にとってはかなり有効なんだろうということはうっすら想像がつきます。さらに、今回は「AWS Marketplace for Machine Learning」という機械学習用の推論モデルを売買できるマーケットプレイスもあわせて発表されており、つまりこれは逆にそこに市場ができるくらいのニーズがある、そしてそれを活用できるデータサイエンティストたちがAWSに集まるのでは?ということでもあるんじゃないでしょうか。

もう少し身近な話題でいきますと、やはり注目したいのは「Amazon Personalize」です。これは、ECサイトの「Amazon.com」のレコメンドのナレッジをサービス化したもの。あのAmazonのレコメンドに誘われて、いったいどれだけのものをポチってきたことかっ!その仕組みを自社のECサイトに活かせるのはおもしろいよなという気持ちと、果たしてこの仕組みをそのまま使えるだけのデータをちゃんとためているECサイトがどれだけあるのだろうか、という気持ちが半々です。

最後に夢のあるところでは、「AWS DeepRacer」という強化学習して動くラジコンカー。開発用のSDKやシミュレータもパッケージ化されており、AWSの各種機械学習関連サービスなどを活用して開発ができるようです。ちなみに、2019年に世界各国で開催されるAWS SummitではAWS DeepRacerのレースを開催し、それぞれの優勝者がre:Inventに招待されるのだとか!東京はまだ技適に通っていないので、鋭意調整中だそうですが、AWS Summit Tokyo 2019を期待して待ちたいと思います。

マネージドクラウド with AWS

はじめてのAWSから 一歩進んだ活用までトータルサポート

まとめ

今回のre:Invent 2018ではなんと100以上もの新サービスが発表されました。このコラムでは、そのほんの一部をご紹介していますが、それでも溢れ出る「なんかすごい」感。機械学習など目立った分野の進化だけでなく、運用管理などは今運用している企業からのニーズや、「こういう機能がないと使えない」といったような、ユーザからの声を細かく拾ってきたんじゃないかな、と思うものも多かったです。こうしてますます便利になって、他サービスを突き放していくんだろうか………。こうなるとあまりに一強すぎて恐ろしい気持ちもなくはないのですが、長いものに巻かれるのもひとつ有効な策だとも思うのでした。

後編では、ストレージ、データベース関連の発表をまとめるとともに、実際にラスベガスに飛んで、re:Invent 2018に参加したソニーネットワークコミュニケーションズのエンジニアお二人に伺ったお話をご紹介します。
以上、シイノキでした!

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